特別選抜の消極的意義

特別選抜(総合型選抜と学校推薦型選抜)
一般選抜

大きく分けると2つの入試形態があります。
特別選抜(総合型選抜や学校推薦型選抜)で進学する生徒が増えてきましたが、それでも王道は一般選抜でしょう。
人気のある大学の多くはいまだに50%以上の定員を一般選抜で確保しています。
一般選抜には勉強の仕方を学べるというのもポイントが高い。
一方で、一般選抜以外の存在意義を主張する人もいます。

以下の議論は文部科学省の「令和2年大学入試のあり方に関する検討会議(第7回)議事録」からです。

【倉元氏(東北大学高度教養教育・学生支援機構教授)】
略~結論です。大学入学者選抜はやはり一般選抜が基本ではないかと思います。~略

【芝井委員(団体代表委員)】
ありがとうございます。これ,1つ,スライドの23だと思うんですけれども,この大学入学者選抜に関して,一般入試が基本だと。広がり過ぎた推薦,AOの制御が課題であると書いておられるわけですが,現実問題として,入学定員と志願者の間のバランスというのは随分時代の変化とともに変わってきて,明らかに選抜型の大学だけではなくなってしまっているかと思います。その中で推薦とAOは制御だというのは少し時代認識としては私と違いまして,むしろ現実に進んでいる入学前教育とか,あるいはリメディアル教育ですとか,目の前にあることを大事にされた方がという感じがするんですが,いかがですか。

【倉元氏】
どういった立場で話をするかによって変わってくると思います。基本的に私は本学,東北大学の立場から物を考えてきた者でございます。そういった意味ではちょっと他の大学のお話は差し控えさせていただければ,と思います。

【芝井委員】
東北大学としてはよく分かります。ただ,全体の日本の入試制度を考えるときには,明らかに入学定員と志願者の間のバランスというのは,少子化の進行という目の前の現実を受け入れて,その中で高校教育と大学をどういうふうにつなげるのか,どう進める必要があるのか。そのときに一般選抜がメインであって,推薦とAOは制御するのが望ましいという結論にはならないように思うんですが。

【倉元氏】
いや,どうでしょうかね。今,私立大学だと,推薦・AOが5割を超えた状況ですよね。それが想定されていたものかどうかということもあると思いますので……。

【芝井委員】
それは悪いことですか。

【倉元氏】
とりあえず……。

【芝井委員】
いろいろな大学があり,私はそうは思っていないのですけれども,いろいろなお立場がある。東北大学のスタンスがあって構わないと思います。

【倉元氏】
要は,全体の入試制度をどこに焦点を当てるのかは難しいと申し上げています。層化して考えないと,やっぱりどうしても仕方がないところだと思います。ですので,私が申し上げられるのはとりあえず一般選抜のところですし,それが基本であるということに関しては今でも,時代が変わっても変わっていないだろうなということは思っております。ただし,それが通用しない層がある。それは当然だと思います。それはもう学士課程答申のところで述べられていることですので,今どうのという話ではないと思います。

【芝井委員】
ありがとうございました。

<大学入試の現実>
少子化の上に大学進学率が50%を超えている時代です。
上記の議論のあとに、新井氏(国立情報学研究所社会共有知研究センター長)によって、大学偏差値プラスマイナス10レベルだと読解力が怪しいとの話がありました。
これは大学生のボリュームゾーンです。
大学生のボリュームゾーンは一般選抜には耐えられないということでしょう。
新井氏の言葉を用いると「学ぶスキルが欠如しているんです。知識が足りないのではなくて,学ぶスキルそのものが欠如している。」とのこと。
こういった層には、特別選抜(学校推薦型選抜と総合型選抜)が必要となるのでしょう。
高校教師としては、特別選抜で進学する生徒に、いかに「学ぶスキル」を身に付けさせるかが問われているのだと思います。
一般選抜であれば生徒は自ら「学ぶスキル」を身に付けていくのですが。

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