先輩の世界史学習法

S先輩
早稲田大学国際教養学部
私が志望していた大学は『用語集』からそのまま引用された問題が多かったことと、他学部を含めて過去に出題された用語がまた違う形で問われることが多かったことから、とにかく用語集の記述をひたすら暗記していこうと思いました。そこで、一日一つ過去問を解き、出てきた用語を『用語集』ですべて調べ、『用語集』の記述をノートに書き写しました。同時に、『用語集』から引用されて出題された『用語集』の記述に黄色の蛍光ペンでマークしました。また違う問題を解いて再び同じ箇所が出題された場合はピンクの蛍光ペンで黄色の上からマークしました。そして次の日の朝にノートに書き写したものの出題された箇所に下線を引いて復習しました。(早稲田を受験する人や、流れを理解するのが苦手で暗記が得意な人には有効ではないでしょうか・・・?)


F先輩
茨城大学 / 明治大学 / 青山学院大学
大学入試センター試験世界史100点

【学習編】
1.「何といっても繰り返し」が大前提
暗記科目である以上、何度も繰り返し教科書や図説(学校で配られた副教材)を読み返して、知識を定着させていくしかない。ある出来事について覚えていく際は、つねに5W1Hを心がけて覚えていくこと。それによって正誤問題でも誤りに惑わされることなく、正解を導きだせる可能性がある。
とくに文化史は皆さん苦戦しているのではないだろうか。私も文化史(とくに中国史)を覚えるのに四苦八苦した覚えがある。文化史の暗記は単調な作業であるが、根気強く何度も〈作者〉と〈作品名〉が完全に一致するまで繰り返し学習していくしか方法がない。文化史のような単に知識を問う問題は「知っていれば解ける問題」であり、ともすればサービス問題でもある。このような問題を落とすと、さぞ悔しい気分になるものである。

2.ノートまとめのポイント
授業担当の先生が作ってくださったプリントをベースに、自分なりに系統立ててまとめていくことが一つの目安となる。授業プリントの内容は、その単元のエッセンスがつまった、いわば最重要項目である。私の場合、「ノートまとめ」ではなく不要なプリントの裏紙などを利用した「裏紙まとめ」を行っていたのだが、授業プリントを上手く活用しながら自分が理解しやすいよう、国や地域別に系統立てて書き出していくトレーニングを行っていた。ノートまとめのスタイルはそれぞれ個人差があるとは思うが、いずれにせよ自分の理解に最大限役立てるようなまとめ方をしていくことが重要である。
なお、「ヨコのつながり」については、私の場合さほど意識して勉強した覚えがない。というのも、各地域別に年号や出来事をきちんと押さえていれば、おのずと自由連想的に他地域の同時期の出来事が思い浮かんでくるはずだからである。例えば、「1453年のオスマン帝国軍の侵攻によるビザンツ帝国の崩壊」という事実をきちんと押さえていれば、同年のヨーロッパで英仏百年戦争が終結したという事実を学んだときに、小アジアでの出来事についてピンとくるはずである。ちなみに、教科書の巻末には各地域別の重要な出来事史が年表としてまとめられている。

3.地図帳を活用する
世界史を学習していく上で、世界地図に関する知識は必要不可欠である。私の場合、地理履修者が使用していた地図帳(帝国書院)を安価で譲り受けて、暇さえあれば地図帳を眺めていた。地理履修者が使用していた地図帳は丁寧なことに、史跡やかつての国境線などが所々に書かれていて、眺めているだけでとても勉強になる。このような周辺的な知識が世界史を勉強していく上でのバックボーンとなり、助けとなっていくことはいうまでもない。
ちなみに私の場合、地理履修者の地図帳のおかげで、例えばバルト三国や旧ユーゴの現在の構成国、EU加盟国(いずれも最重要項目、EUについては何年にどの国が加盟したのかということまで答えられるようにしておきたい)などを覚えていくことができた。

【試験編】
1.試験中は最大限時間を使おう
センター模試の場合、試験時間50分を最大限活用すること。これは世界史に限ったことではない。私の場合、全部解き終わった後に、見直しを少なくとも三回はやっていたと記憶している。
見直しのやり方として、一回目は全問ざっと見直す(マークシートへの転記ミスのチェック等。意外と転記ミスがあったりすることも)。二回目は正解しているかどうか確信のない問題について、もう一度ゆっくりと考え直す。いくら勉強したとはいえ、試験問題36問中、自信のない問題が4~5問あって当然。そのような問題はあらかじめ問題用紙にチェックを付けておき、とりあえずその時点で正解だと思うものにマークをしておく。だいたい30分もあれば、ひととおり全部解き終えられると思うので、余った時間でチェックした問題についてもう一度じっくり考えていくのである。関連する知識を総動員して、きちんと根拠のある答えを導き出せるよう心がけること。それでも迷う場合は、自分が直感的に正しいと思うものにマークするしかない。そのような問題は試験問題に目立つようマークをしておき、後でしっかり覚えなおせばいい(要は同じ間違いを二度としないということ。模擬試験の試験問題も重要な参考書)。三回目の見直しはもういちど全問について、転記ミスがないかチェックしなおす。
以上を全て行うと、だいたい試験時間いっぱい使うことになる。早く解き終えたからといって、居眠りやお絵かきをしていては、せっかく正解の可能性がある問題を取りこぼしてしまうことになる。世界史で高得点を目指す人は、ぜひ50分間集中力を切らさずに問題と向かい合ってほしい。

2.試験問題のリード文って意外と大事
試験問題の構成を見ると、必ず大問ごとにリード文がある。このリード文に目を通しておくと、小問で何を問われるのか予想できるようになるし、いきなり小問から解き始めるよりは多少なりとも心に余裕ができるだろう。余談だが、きちんと勉強していくと、リード文の下線部を見ただけで正解がわかってしまうこともある。もちろん、問題文ほどじっくりと読み込む必要はない。ときたまリード文に書いてある事柄が教科書のレベルを超えていてぎょっとすることがあるが、小問ではごく基本的なことのみを問われている場合もある。
なお、私が模擬試験のときに欠かさず行っていた作業について記しておく。先日クラスの数名にお話した内容だが、リード文の小問とは直接関係ない事柄について、必要な情報を書き出していくことである。例えば、ある出来事に関する記述があったとしたら、その出来事が起こった年号や地域、関わった人物等である。この作業によって、模擬試験を通して自分の知識を再確認することができる。早い話、試験時間中に世界史の自習をしてしまうのである。

3.試験編のまとめ
模擬試験はあくまで本番までの「練習」にすぎない。自己採点で一喜一憂することなく、試験が終わった後も不正解の問題、あるいは勘で正解してしまったような問題についてはその周辺領域を含め、徹底的に見直しを行っていくべきである。そして再び類似の問題が出たら、今度は間違えない。加えて、どのようなパターンで出題されても対応できるよう、頭の中でシミュレートしておく。要は「危機管理」、備えあれば憂いなしなのである。世界史の学習が上手くいくかどうかは、このような小さな工夫の積み重ねによるのではないかと確信している。

おわりに・・・
世界史の学習はとてつもなく大変だが、きちんと取り組んでいった分、その結果が点数として跳ね返ってくる。私の場合、東洋史(とくに中国史)が苦手であった。センター本番では苦手だからというようなヌルいことをいって、中国史を捨てるわけにはいかない。私からのエールとしては、どの領域もまんべんなくカバーできるような、「世界史のゼネラリスト」を目指していただきたいということである。
古代四大文明から現在まで、教科書300ページ以上をくまなく網羅していくことは容易ではないが、世界史は使える教養として、これからの人生に大いに役立っていくものである。ちなみに私の場合、現在専攻している臨床心理学や精神分析の理解に世界史(とりわけ西洋近現代史)は大いに役立っている。受験勉強で得た世界史の知識は、大学での学びの下地になる。そのことについてもぜひ頭の片隅に置いていただけたらと思っている。

皆さんのご健闘をお祈りします。

トップへ戻る