【ハインリッヒの法則について聞いたことはありますか?】
これはアメリカの技師ハインリッヒが発表した法則で、労働災害の事例の統計を分析した結果、導き出されたものです。「重大災害を1とすると、軽傷の事故が29、そして無傷災害は300になる」というものです。
元々は労働者の安全意識を高めるための法則なのでしょうが、日本ではしばしば交通安全意識を高めるために用いられています。
わたしも運転免許更新時に「1件の重大災害(死亡・重傷)が発生する背景に、29件の軽傷・物損事故と300件のヒヤリ・ハット(事故には至らないがヒヤッとすること)がある」といった話を聞かされたことがあります。
さらに、この法則は、医療現場で使われることもあるようです。
私たちは「いつもやっていることだから」だとか「今までも平気だったから」だとかと言って、自分の不注意(意図的であれ、気づかなかったことであれ)に慣れてしまう傾向がありますが、これにより「不注意」が悪しき習慣となってしまい、重大な事故を招いてしまう。
自分の不注意に敏感になり、良い習慣を身につけたいものです。
【さて、このハインリッヒの法則を受験に当てはめてみましょう】
不合格の背後には29の失敗があり、その背後には300の不注意がある。
高校入学からセンター試験までは33ヶ月あります。
不合格の背後には1ヶ月に1回の失敗があり、1ヶ月に10回の不注意がある、ということです。
これは3日に1回の不注意の蓄積ということになります。
3日に1回の不注意の蓄積→1ヶ月に1回の失敗→不合格
1ヶ月に1回の失敗とは「試験での失敗」でしょう。
高校生は毎月1回、定期試験か模擬試験を受けています。
テストの失敗の背後には1ヶ月に10回の不注意が存在します。
つまり、3日に1回の不注意の蓄積があります。
1ヶ月に10回の「不注意」は、顕在化しませんので(顕在化するのは「失敗」です)、「ばれなかった」、「うまくごまかせた」ものばかりです。
3日に1回の割合で「うまくごまかせてしまう」と、これは悪しき習慣になりかねません。この不注意は、「復習をサボってしまった」や「予習をサボってしまった」や「英文法・語法問題集をサボってしまった」等が挙げられると思います。
ちなみに、ハインリッヒの法則の教訓は、無傷災害、つまりヒヤリ・ハットをいかに減らすかにあります。
皆さんも、「不注意はなるべく蓄積させない」といった意識が必要です。
もちろん、これは、全科目の話です。
不注意で大事なのは「バレるか、誤魔化せるか」ではなく、「1回で済ませられるか、蓄積させてしまうか」です。