題名:国立専願の医学部受験生へ
【国立医学部を志すということ】
私は国立専願だったため、「落ちたらもう浪人しかない」「何年かかるか分からない」という不安感がありました。勉強がつらくなっても「あと少しだから頑張ろう」と思うことはできません。前期試験で数学の出来が悪くて浪人を覚悟したときは、「いつまでこんなことが続くんだろう」という絶望感におそわれて、ホテルに戻って泣きました。本当に、永遠に受験から逃れられないような気がしていました。国立医学部を目指すだけの「覚悟」ができていなかった、と思うことも何度もありました。
【国立医学部受験の大前提】
<センター試験重視>
国公立医学部に合格するためには、センター試験で高得点を取ることが絶対条件になります。目標は必ず9割かそれ以上です。特に私は数学と理科が苦手で、二次試験に不安があったので、センター9割は確実に取るつもりでいました。高3夏以降の模試では9割を超えていたのですが、本番で失敗し、センター試験の恐ろしさを実感しました。当たり前のことですが、模試での9割は必要条件にしかなりません。「9割とれているからもう大丈夫」と安心したり、「今9割取れてもしょうがないんだ、どうしよう」と不安がったりせず(私はこうでした)、「模試での9割は必要条件」とクールに割り切って、目の前の勉強をすることが大事です。
センター試験を受けてみて実感したのは、当然のことなのですが、確実に9割を超えるには「安心して解けるだけの実力」が必要だということです。私の場合、本番で9割を超えたのは、英語と数ⅡBだけでした。数ⅡBはこの年簡単だったのでおいておくとして、英語は私が唯一、模試でも本番でも9割取れると確信し(取れなかったときもあったのですが)、安心して臨んでいた科目でした。やはりそれだけの実力がなければ、センター本番で9割を超えるのは難しいと思います。(英語では本当は9割5分欲しかったのですが、本番は9割ギリギリでした。やっぱり本番は怖いです)
あくまでも私の場合なのですが、センターに向けた勉強をする際、「今はできても、本番で9割いくかは分からない」という思いが障害になっていました。本番で何が起こるか分からないという不安から、どうすれば本番で成功できるのか分からず、目標が明確に定められずにいました。今なら「英語のように、安心して試験を受けられる実力をつける」という目標を定めることができます。そうしていればもっと取れていたかもしれない、と後悔が残る部分でもあります。もし同じような不安を抱えている人がいたら、参考にしてみてください。
<面接と小論文:医療ニュースに敏感に>
私は面接と小論文でとても苦労しました。今の時点では、面接や小論文の対策まで気にしていられない、という人が多いと思います。もちろん入試を突破できるだけの実力をつけることが最優先で、面接や小論文の勉強は出願後でもいいでしょう。ですが、今のうちから医療ニュースは真剣に見ておいてください。時間をとる必要はないです。テレビのニュースとか、なんとなく新聞を読んでいるときとか、医療ニュースにふれる機会はあるはずです。そんなときに、意識してその内容を頭に入れるようにしてみてください。
医学部面接では、是非が判断できない問題を聞かれます。求められているのは正しい答えではなく、自分の意見を言うことです。「自分がどう考えるのか言えばいい」だけなのですが、知識がないと、論点を決めることができず、自分の意見を言うことが難しくなります。例えば「出生前診断についてどう思いますか?」と聞かれたとします。その問題に答えるには、まず何のためにそれが行われているのか、それに関連してどんな問題が生じているのかを知らなければ、何について話せばいいのかわからず、自分の考えを話すことはできないわけです。逆に言えば、何を問題にすればいいか分かっていれば、あとは自分の考えを言うだけです。解決が難しく今でも問題になっている内容が多く聞かれるので、医療ニュースを知っておくのはとても大切なことです。
【後悔:私の危険思想】
こんな考え方さえしなければ、と私が強く後悔している危険思想があります。すべて「国公立医学部に入るには普通じゃない受験生にならないと」という気持ちから生まれたものです。
・「同じ問題を何度も繰り返すなんて意味がない」(主に数学)
「試験本番で初めて見る問題が解けなくちゃいけないから」「同じものを繰り返すよりは他の問題をやって、そのなかで類似の問題に触れたほうが効率がいい」という気持ちからです。しかし、このやり方では、確実な形で残るものがありません。この結果、私は直前期になってから自分がやってきたことが見えなくてすごく不安になりました。
・「学校でもらった問題集を信用しない」
学校指定の問題集をもらうと、場合によりけりですが、これをやって医学部に入れるのか、と疑ってかかっていました。今思うと超危険思想です。センターレベルの問題集には時間をかけないで、もっとレベルの高い問題集をやらなければという焦りの気持ちが大きかったと思います。私は入試が近づいてきて、ふと振り返ったときに「センサー(学校指定の問題集)すら完成していない」ことにすごく焦りました。3年夏くらいにあわててやり直して、自分のやり方をすごく後悔しました。
【後輩へのアドバイス】
受験勉強には不安がつきものです。高いところを目指せば目指すほど、自分のやり方に自信が持てなくなるかもしれません。こんな勉強じゃだめだと、手が止まってしまうこともあるかもしれません。それでも、自分を信じてやり続けてください。完璧である必要はないんです。それがたとえ効率の悪いやり方だったとしても、それをやったことは決して無駄にはなりません。いろいろと実践してみた経験の上に、効率の良い勉強法が確立されていきます。そこから自信も生まれてきます。今はそれが見えなくて不安でも、目の前にあるものをやってください。上を目指して頑張っている自分に自信を持ってください。
あと、入試直前には「自分がしてきたことを思い出して自信をつける」と聞きますが、私は「もっとやらなきゃいけなかったのに」という気持ちにしかなれず、過去にはいつも追い詰められていました。皆さんは過去を味方につけられるような受験生になってください。
追伸
私は自信がなくなったら、受験ブログを読んで元気をもらいました。
「きぃ」さんの「国立専願の医学部受験生へ」はお勧めです。
http://jyukenblog.cocolog-nifty.com/schoollife/2010/02/post-7465.html