京都大学工学部H先輩

ここからは私のしてきた各科目の具体的な勉強方法と使っていたものでためになったと感じた参考書や問題集を紹介していきたいと思います。少しでも後輩の皆さんの参考になれることを願っています。

~英語~
まず初めに英語に関してですが、私は速読よりも和文英訳や英文和訳に力をいれてきました。何故かというと、京大の英語は昔から大きく分けて和文英訳と英文和訳の二つで構成されているからです。このように英語は各大学の入試問題でそれぞれ大きな特徴を持っています。そのため、自分の志す大学の入試問題はなるべく早めに調べて特徴をおさえてしまうのがよいでしょう。そこから逆算して自分にはその大学の入試問題を解くためには何が必要か、何が足りないのかを把握して勉強に取り組んでいくべきです。ではこれから英語の具体的勉強方法を記していくことにします。

<単語>
まず単語ですが、私は単語を覚えるために単語を紙に何度も何度も書いて覚えようとしたことは一度もありませんでした。その分何度も何度も単語帳に目を通して単語を見て覚えていました。本当に書かないで見て覚えられるのかと疑問に思う人がいるでしょうが、実際は書くよりも見て覚えるほうが効率的であると私は思います。例え単語を何十回何百回書いたとしても、人間はまた新しい知識を頭に入れたり、数週間も復習しないでいると忘れるときはすぐに忘れてしまうのです。人間の記憶というものは本当にあいまいなものです。だからこそ、一回で何度も書いて練習するよりは、少し間をおいて何度も見返したほうが記憶の定着には良いのだと思います。その上、単語ひとつに十回程度書いて練習するのに費やすのと同じ時間に単語五つほどに目を通して頭に焼き付けることが可能です。そしてその際、頭の中で何度もその単語を復唱したり、また、アクセントに気をつけながら声に出しながら読んでいくとなお良いでしょう。しかし、もちろん一度や二度見た程度ではすぐに忘れてしまいます。だからこそ、その次の日にまたその前の日に見た単語をもう一度見返すのです。そしてまた、新しい単語を目安を決めて覚え、また次の日にそれらを見返す、それを続けることで記憶が脳に定着して短期記憶から長期記憶へと変化していくのです。また、この作業は、勉強の合間か、電車やバス、車での移動時間の中で行うことがとても効率的です。私は単語を一度も学習室で練習したことはありません。学習室はなるべく手を動かして行わなければならない計算や問題を解くのに利用する場所だと思っています。私は単語はあくまで勉強の合間に行うものととらえていました。

<文法>
文法は基本的に授業で覚えてしまいましょう。英Wの授業では基礎となる文法はすべて習いますので。それを中心として自分で文法書(私はFORESTをおすすめします)をチェックしてその授業で習わなかったような応用的な文法表現があれば、そこでチェックしてしまいましょう。また、文法を一通りやり終えたのなら、定期的(私は2ヶ月に一度程度)その文法書をもう一度初めから終わりまで読み返す習慣をつけてしまいましょう。さらに、英Rの授業で文章を読んでいてある分野、例えば、関係詞などがあいまいに感じた場合はすぐにその分野を文法書で見返して記憶を呼び戻してください。

<読解>
基本的に最初は慣れるまではSVOCなどをつけたり、関係詞やthat節などを{ }でくくって品詞分解しながら読んでいくと良いでしょう。また、文を読む際には必ず「主張の後に理由説明が来る」「同内容、同意表現に意識する」「対比の構造があればチェックする」などの英語特有の表現(現代文の評論にも共通します)に注意してください。また、「パラグラフリーディング」も重要です(ここで記述するとものすごく長くなってしまうので、良くわからない人、もしくはもっと詳しく知りたい人は英語科の先生に聞いてください。ちなみに私は藤本先生を推薦します)。その作業をしていくと次第に英文の構造が見えてきて、自然と頭の中で書かなくても構造を意識して読むことが出来るようになります。そうして最終的には英語を英語として自然と読むことが出来るようになっていくのです。

―私の英語おすすめ参考書―
1、「FOREST」
2、「速読英単語」
3、「伊場の難関大受験生用部分点ネライの和文英訳・自由英作文」
4、「大学が出したがる入試英文」

1は上述のとおりの使い方。2も上述のとおりですが、どこの大学を受験する人でも最低限基本編は完全にマスターしましょう。上級編は早慶上智を受ける人なら必ずやるべきでしょうが、その他の人はやる必要はありません。3、4は京大対策として使いました。特に4はおすすめです。環境や科学技術、文化、歴史、思想をはじめ、入試で出される主要な10テーマに関係する単語とあらゆる大学の過去問からそのテーマに関する良質な英文がピックアップされているため、とても良い英文和訳対策の参考書です。京大をはじめ、英文和訳が出題される大学を受けるのなら必ず購入すべきです。

~数学~
元々ものすごく苦手意識があり、また、一番嫌いな科目でした。実際に高1のころはずば抜けて苦手な科目でした。しかし、基本からだんだんと積み重ねていくうちに少しずつできるようになり、高2のときの模試の偏差値は高1の時の模試の偏差値と比べて30近く上がりました。いまとなっては物理化学についで好きな科目となりました。

<公式を体得する>
これは前に記述したとおりです。何度も何度も繰り返し練習して導出過程ごと記憶してしまいましょう。そしてまた、基本的な数学用語や文字もきちんと覚えてしまいましょう。 いざ数学を勉強しようとしたときに解答が読めなければ元も子もありませんから。

<効率的な数学の学習>
私は読む専門の参考書と解く専門の問題集を常に分けていました。何故に分けたのかというと、私は読む専門の参考書では問題を考えずにすぐに解法を読んで基本的な解法パターンを記憶し、解く専門の問題集で問題を実際に考えて解くという方法で勉強していたからです。また、実際に問題を考えて解く時も時間制限を決めておく必要があります。そうしないと、数学は問題によっては1日中考えても結論が出ないときが出てきます。それは明らかに時間の無駄使いというもので、全く効率的ではありません。私は大体10分考えて全く手がつけられないときはすぐに答えを見て第一手が何故思いつかなかったのかを分析し、また、次に第一手が思いつけた場合を想定し、そこからどこまで展開できるかを実際にやってみました。それだけでおよそ合計30分程度長くても40分で終わります。そうして1日おきに2、3問程度問題を解いていました。

<一度解いた問題は何度も繰り返し復習する>
私はこれが一番重要なことだと思います。一度解いた問題をもう二度と解かない人がしばしばいます。その人は今すぐにでも一度解いた問題を復習することをおすすめします。しかし、こう言われるとまた一から問題を紙に書き直してやらなければいけないのかと思い、面倒だと感じる人もいることでしょう。しかし、私はそのようなやり方をしたことは一切言うつもりはありません。むしろ私もそのやり方はひどく非効率的だと思います。私がしてきた復習はひとつの問題につき5分もかかりません、それはただ一度解いた問題と解答を定期的に何度も読み返して解法の流れを記憶するというものでした。言い方を変えると、一度解いた問題はすべて、読む専門の参考書と同じ役割に変化したと言ったほうが良いでしょう。

<受験数学はパズルのようなもの>
受験数学は一部の難問を除いてはたいてい代表的な基本や標準レベルの問題の解法がばらばらに組み合わされたパズルのようなものと考えるとわかりやすいと思います。そして、そのパズルを解くためにはピースがひつようであり、そのピースが読む専門の参考書で暗記した解法です。だからこそ私は数学を解くためには解法暗記は必須であると思います。そして、そのパズルを組み立てる力を解く専門の問題集で新しい問題を解いて養っていくのです。また、そうすることで自然と数学脳が形成されてきます。

―私の数学おすすめ参考書―
1、中経出版のおもしろいほどわかるシリーズ
佐々木隆宏の数学の発想力がおもしろいほど身につく本
佐々木隆宏の整数問題がおもしろいほどとける本
志田晶の行列一次変換いろいろな曲線がおもしろいほどわかる本
2、 受験数学の裏技50(ⅠAとⅡB)
3、 岡安数Ⅲ微分・積分講義の実況中継
4、 野竿数学ⅠA講義の実況中継
5、 月刊大学への数学
6、 数学ⅢCのアドバンス

1~4はいわゆる読む専門の参考書です。1に関してはその中でも特に京大を受験するなら必ず購入してほしい3点をセレクトしました。2はまた違った観点からの解法が乗っていてとてもよいです。3ははっきり言って難しいです。同じ実況中継とは思えません。ですが、良問ぞろいです。4は私が一番初めにやった参考書です。私は初め数学の根本から理解できていなかったためこれを使って基礎を固めました。数学ができなくて悩んでいる人は購入することをおすすめします。5は解く専門の問題集として使いました。ただ一つ注意しておきたいことは、大数の学力コンテストは無理に解く必要はないとおもいます。はっきり言って難しく、受験で受かるためだけの勉強に関して言えば全く必要なく、時間の無駄になることがしばしばあったからです。ただ数学が好きで解いてみたいという方は趣味で解いてみるのもいいのではないでしょうか。6は学校で配布されます。計算練習用としてかなり役に立ちました。

~物理~
私の1番の得意科目でつねに心のささえとなった、それが物理でした。みなさんも必ず得意科目というものを最低でも1科目はつくってください。そうすると他の科目で失敗したときの埋め合わせもできますし、何より自分の自信へとつながります。

<力学の公式は原則暗記しない>
私は原則的に力学の公式をむやみに暗記したりしませんでした。なぜなら物理という学問は根本となる原理を覚えてしまえば後は微分積分を用いて体系的にすべての法則を導き出すことができるからです。高校の物理でもこれを利用することができ、特に力学では完全にこのことを扱い、問題を解く事ができるからです。ニュートンの発見した運動方程式、これさえうまくたてられればたいていどんな問題でもとくことができます。だからこそ、力学ではこの運動方程式からすべての法則の導出ができなければならないのです。

<物理脳を開花させる>
物理は微積を用いて体系的にとくことも大切ですが、問題全体を見渡して現象の実態を
つかむというイメージ物理も同様に大切です。そのためにまず私が一番最初に行ったこ
とは物理的思考力をつける練習でした。私は基本的な問題集(私の場合、センサーと重
要問題集)を何度も何度も繰り返し解きました。そうすることで、物理的な直観力や思
考力が自然とついてきます。そして、物理的世界をよりイメージしやすくなり、問題も
スラスラ解けるようになります。そうなってしまえばあとは簡単です。今度は何も書く
必要はありません。まず問題をみるとすぐに大まかな解法が頭に浮かぶようになります。
そうなれば後は答えを見て自分の頭に浮かんだ大まかな解法とあっていれば次に進む、
間違っていればもう一度頭の中で考えるなどを繰り返していくのです。そうすることで
短時間で多くの問題をこなすことができるようになります。しかし、もちろん一筋縄で
はいかない問題も当然出てきます(特に東大、京大、早慶大など)。だから私はその場
合に備えて微積で体系的に解く物理も身につけておくことにしたのです。微積物理を用
いると難問を含め、たいていの問題を体系的に解く事が可能になります。

<物理は根本から学ぶ>
物理が得意になる一番の近道はやはり物理を根本から学んで理解すること以外ないと思います。前にも述べたことですが、わからない問題が出てきたら必ず自分でわかるまで考えあいまいな部分を残さず、現象の根本から理解することが大切です。そうすることでさらに自分の物理脳を磨いていくことができると思います。

―私の物理おすすめ参考書―
1、新物理入門
2、予備校のテキスト
3、名問の森
4、良問の風
5、物理の重要問題集
6、センサー

1は物理の根本を学ぶのにはとても良い参考書だと思います。しかし、一つ注意しておきたいことは、この参考書は大学の内容にも少し触れているため、また、ほとんどの式で微積が用いられているため、数学ができる人や物理が好きで得意な人でないと絶対に挫折します。立ち読みして自分は無理だと思う人には購入をすすめません。2に関して、私は高3の一年間、智森学舎予備校で物理の講座をとっていました。その講座の担当の田原先生は物理を微分積分を用いて体系的に解くこと丁寧に教えてくれます。私はその授業にとても感銘をうけました。もし微積で解く物理に興味のある方は1回でも良いので受講してみることをおすすめします。3はそこで学んだ微積物理の練習教材として使いました。4~6は物理脳を鍛えるための問題集として使いました。

~化学~
化学は最後の最後まで苦労した教科です。そもそも学校で化学の全授業が終わったのが3年の12月であったためなかなか全体を通して復習することができず、京大模試ではあまり良い結果がでませんでした。しかし、なんとか2次試験までには間に合わせることができました。

<根本の理解>
私は化学も同様に根本から理解するようにして勉強していました。化学の入試問題は難
関大学になればなるほど全く聞いたことのないような分子や実験がテーマになったり
することが多いです。それに対応するためにはやはり化学の現象を根本から理解する必
要があるでしょう。しかし、根本を追い求めていくと必ず高校では習わないような範囲
までさかのぼってしまうことがあるためそこまできたらあまり深く考えずにこの現象
の根底にはこのような法則があるのかなどと言葉で説明できる程度(参考書に書いてあ
ることそのままで良い)で覚えておくと良いでしょう。

―私の化学おすすめ参考書―
1、化学ⅠⅡの新研究
2、化学ⅠⅡの新演習
3、化学の重要問題集
4、照井式解法カード(有機化学)

1は化学を根本から理解するために必須の参考書です。また、大学にいってからも使えるので、ぜひ、購入することをおすすめします。2は1に対応する問題集です1をやりつつ2を同時進行でやるのが良いでしょう。3は問題演習に使いました。4はとてもわかりやすく書いてあるのでおすすめします。

~自分はできると思い込むこと~
最後にみなさんにひとつ言っておきたいことは「自分が勉強の出来ない人間だ」とか「こいつだけには模試でどんなことがあっても絶対に勝てない」とは絶対に思い込むなということです。もしそんなことを思い込んでいる人がいたら、はっきり言いますがその人の能力は絶対にそれ以上のびることはないと思います。これは実際に脳科学で証明されていることで、ネガティブな思考はネガティブな方向にしか向かいません。逆にポジティブに考えてください。「自分はできる」「自分は頭がいい」「こいつには今は負けているがいつかは自分が必ず勝つだろう」などなんでもいいからポジティブに考え自分に自信をもって、必ず「できる自分」を頭の中でイメージしてください。そうすることで自然と勉強を受け入れる下地が脳の中に形成されます。それがある人とない人とでは同じ勉強をしていて成績の伸びに差がでてきます。しかし、ひとつ注意してほしいことは、絶対に合格するまで勝ったとは思わないでください。例え模試でA判定をとってもそれでゴールだとは思わないでください。そうなると、そこでブレーキがかかってしまいそれ以上成績がのびなくなってしまう恐れがあるからです。最後まで油断せずに、常に上には上がいるため、その自分より上の者を常に目標にし続けましょう。

生まれついて頭の良い人などほとんどいません、天才など世界で数える程度しかいないでしょう。生まれたときに脳に障害を抱えていない限り皆同じ脳の構造をしており、頭の良し悪しは一切ないと思います。人間は育つ環境、その人自身の意思や自我により頭の良さに差がついてくるのです。ですから、その人にあったやり方や本人のやる気次第では誰でも東大、京大だろうがどこの大学にも入れると思います。

外伝
~何故私は早稲田大学に落ちて京大に受かったのか~
恥ずかしい話なのですが、実は私は早稲田の先進理工学部に落ちてしまったのです。しかし、私は京大には合格することが出来ました。周囲の人々からも何故早稲田に落ちたのに京大に受かったのかと不思議に思われることもしばしばあります。しかし、私は別に不思議なことではなく、むしろ京大の方が自分にとっては受かりやすいと思っていました。それには多少思い込みも入っていて、言い訳にも聞こえるかもしれませんが一応根拠というものがあります。以下に早稲田の敗因、そして京大での勝因の自己分析(あくまでも自己分析にすぎません)を記述しておきました。

自己分析その一
<速読に対応していなかった>
前に述べたとおり私は速読の対策よりも英訳、和訳対策に多くの時間を費やしていました。そのため、かなりハイレベルな速読を要求してくる早稲田の理工の問題に完全に対応することができませんでした。一方、京大は1ヶ月きっちり対策した結果、安定した点数をとることができました。

自己分析その二
<速く解くよりもじっくりと考えて解くほうが得意だった>
私は物理と化学に関しては時間さえかければたいていどんな問題でも解けるというレベルまでもってきていました。しかし、そんなことを言っても試験は時間との勝負でありいくらその問題が自分の解けるものであったとしても、それが時間内でなければ当然認められません。特に早稲田の理科の問題は2科目で120分という短い時間でこなさなければならず、問題を解くスピードを要求しています。私は時間内で解け切ることができず、また焦りも重なって化学が壊滅し、また、物理でも多くのケアレスミスをしてしまいました。一方で京大の理科は2科目で180分あり、多少問題の量に差はありますが早稲田よりも1時間も多くの時間をかけられることができ、ゆっくりと考えて解く事ができたため、理科で高得点をとることができました。

自己分析その三
<過去問を解いた量の差>
今思えばなんと愚かなことをしていたのでしょうか。あろうことに私は京大対策だけに時間を割き、早稲田の過去問を全くといっていいほど解かずにいたのです。実際、早稲田の過去問をはじめて解いたのは、試験の前日と試験当日の電車の中で、たったの1年分しかこなすことができませんでした。その一方で、京大は1ヶ月間かけてじっくりと過去問を8年分解き、きちんと傾向を分析し、今自分に何が必要なのかを考え、その対策に多くの時間を費やしました。ここに大きな勝敗の分かれ目がありました。「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という孫子の有名な格言があります。まさにその言葉のとおり、私は敵(早稲田の試験)を知らなすぎたため、自分に必要な勉強をすることが出来ず、早稲田に落ち、また、敵(京大の試験)をしっかりと分析、把握して傾向をつかみ、自分に必要な勉強をすることが出来たため、京大に受かることができたのでしょう。

最後に
大学入試問題というものは各大学でそれぞれ様々な特色があります。ですから、自分の志望している大学の過去問はしっかりと把握して傾向をつかみ、それを解くために今の自分に何が足りないのかをきちんと分析してください。また、自分の目指している大学よりもランクが下の大学の過去問が解けなかったからと言って単に落胆しないでください。その大学の入試問題はあなたの見慣れたものではない上に、あなたの志望している大学の入試の特色とは全くの間逆なものであるかもしれないからです。